ブックロア BOOKLORE
BOOKLORE ブックロア

 2002年より大阪枚方の星ヶ丘で『SEWING GALLERY』というギャラリーを運営してきました。この場所は「誰でももの作りができる」というコンセプトのもと、芸術の訓練を受けていない人や、新しい表現の形を見つけたい人が自由に実践、実験できる場としてギャラリースペースを提供しています。活動も5年になり、多くの人がここを訪れ、様々な形で作品を発表してくれました。そんなギャラリー活動の中で多くの作家やここを訪れる人々と出会い、自己表現や芸術といったものが作家自身や自分達にとって、また世の中にとってどういった事に役立っているのかを常に考えてきました。まだその答えとなるような言葉をはっきりと見つけたわけではありませんが、自己表現がもたらす効果のようなものは、うっすらと見えるようになってきました。そして、そんな活動の中で得てきたことを外に示していく必要性も感じるようにもなりました。そこで自分達の意志を発信する場所として、出版社BOOKLOREを立ち上げることになりました。
 BOOKLOREはSEWING GALLERYの思いをそのまま受け継いだ形で運営されます。本というフィールドの中にもうひとつのギャラリーをつくる気持ちで、作っていけたらと思っています。本はギャラリーとは違い、ひとつの場所にとどまるものではなく、広い地域に伝わっていくものです。また形としても残るものなので、時間を超えて、後世と繋がる媒体でもあります。それは同時に星ヶ丘の記録にもなります。
 BOOKLOREは「Book」と「Folklore 」を合わせた言葉です。「lore」は伝承という意味であり、フォークロアは一部の地域の民族内で行なわれる、慣習、祭事、言語、工芸など様々な要素を含んだ伝承を意味します。ものごとを広く普遍的に伝えるのではなく、その地域に住む人々がその土地を継承していく人にのみ伝えていくからこそ、特化した伝統がフォークロアとして残されていきます。BOOKLOREでも、小出版のスタイルで、背伸びすることなく自分達の目の届く範囲で、この地域、この時代に行なわれている事柄を本という形で伝え、残していければと考えています。

2007年

BOOKLORE 中島恵雄

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